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顧問弁護士をどう活用するか?

 うちの会社にも顧問弁護士がいたほうがよいと思うけれど、実際、何がメリットで、どう活用したらいいのだろうか?

 

 このように考える、迷う経営者の方も多くいらっしゃると思います。

 顧問弁護士の活用法について3つのポイントにしぼって、お話しします。

 

(3つのポイント)

1 何より大切な「初動」を相談する

2 自力でやるか、顧問弁護士に頼むか?

3 会社の中の「誰」が顧問弁護士に相談するか?

 

 

1 何より大切な「初動」を相談する

 

 何らかの「事件」「トラブル」になってから弁護士に相談する場合と、顧問弁護士に相談する場合とで、決定的に結果が分かれるのは、この点だと思います。

 

 何か小さな火種が起こっているとき 「初動」 が最も大切です。

 火事でいえば「初期消火」です。

 

 たとえば、取引先や顧客からのクレームがあったとき、ちょっとした不祥事が発見されたときなどの最初の対応です。

 優れた経営者でも、ときには、この「初動」を間違えることがあります。

 また、間違いとはいえなくても、「こうすればトラブルを回避できた」ということもあって、ことが小さいうちに第三者の専門家に聞いて対応を考えることはとても有益です。

 

 これは、「弁護士の経験、知見が参考になる」のと同時に、「自分自身も考えが整理できる」という両面からです。

 

 実際、私が顧問弁護士として相談を受けるなかで、

 

  • この問題は、相手が言うような「大ごと」になる問題ではありません。
  • 落ち着いて沈静化を図るのが一番です。

 

とアドバイスして、結果、無事に安定した状態が保たれるケースが多いです。

 これは、「トラブルが大きくなってから後に訴訟で勝つ」よりも、企業にとって利益になることがほとんどです。

 

 

2 自力でやるか、顧問弁護士に頼むか?

 

 たとえば、取引先との契約書作成など、これまで自社でやってきた業務があると思います。

 それをいちいち弁護士に依頼するのか?

 また、契約書でも顧問弁護士に依頼するべきものがあるとして、それは「どこから」か?

 

 これもよく「迷う」と言われることです。

 

 これまでの業務の流れの中で、特に、何らかの心配事もなく、日常的に取引先と契約書を交わすフローになっているというのならば、必ずしも、すべてを顧問弁護士に相談する必要はないと思います。

 

 たとえば、

 

  • いつも使っている自社の契約書(雛形)を、改めて、チェックしてほしい。

 

という場合や、

 

  • いつもの契約書と違った 特殊な条項 を入れてみた。それでよいか。

 

という場合などは相談いただいたほうが良いでしょう。

 

 なお、「一から契約書をつくる」というのは、オーソドックスな売買契約などであればよいのですが、少し複雑なものになると、専門家でないと大変骨が折れるので顧問弁護士に依頼した方がよいでしょう。

 

 私の場合、契約書についてはAIを利用した「雛形」と対照するサービスに入っており、契約書雛形も数百種類をすぐに参照できます。

 なので、契約書について自社内で手数がかかる場合には、ともかく尋ねてもらったほうが早いです。

 

 法律の解釈の問題はどうでしょうか。

 たとえば、「Chat GPTを活用して業務を行う際に、顧客データを入力してよいか」などの内容になってきた場合は、自社内で意見を出し合って検討することも有益ですが、それと並行して、早いタイミングで顧問弁護士に聴いて法律の解釈を調査してもらうのがよいでしょう。

 

 また、トラブルの相手方が弁護士をつけてきた、裁判を起こしてきたとなれば、これも早期に顧問弁護士に相談して対応を検討すべきでしょう。

 

 

3 会社の中の「誰」が顧問弁護士に相談するか?

 

 社長一人の会社であれば社長ということになりますが、法務担当者がいる場合は、日常の問題は法務担当者が顧問弁護士に相談するというケースも多いです。

 

 これは、相談する内容によって変わります。

 たとえば、

 

  • 会社全体に影響を及ぼす問題、会社のポリシーに関する問題で、社長自身が直接に関わらなければならないようなこと

   ⇒ 社長や役員が顧問弁護士に相談する

 

  • 日常の取引上の相談、顧客との対応など

 ⇒ 担当者が直接、顧問弁護士に相談する

 

という例が多いです。

 

 これも会社の中で、ルールを決めていただくと顧問弁護士を活用しやすくなります。

 

「〇〇の範囲のことは、事前の承諾なく、担当者が顧問弁護士に直接相談してもよい。ただし、それ以外のことで顧問弁護士に相談するときには、社長に確認する。」

「担当者が顧問弁護士に直接相談するが、メールのCCに役員の●●を入れておく。」

「顧問弁護士への相談・回答については、『顧問弁護士相談』のフォルダに入れておく。」

「顧問料以外の費用が必要な場合には、役員決裁を得るものとする。」

                                    など

 

 このようにルールを決めておくと、一定の範囲のことは、いちいち社長が関わらなくても、担当者が弁護士の専門的な知見を得ながら進めて行けるようになります。

 

 以上、弁護士と顧問契約をしたときの実際の活用の仕方について、少しでもイメージが湧けば幸いです。

 

 顧問契約をして半年、1年と過ぎ、だんだん、顧問先会社の皆様も慣れてこられて、その会社らしい弁護士活用のペースや形を作ってこられたな、と感じますと、弁護士としてもとてもうれしい気持ちになり、ますますお役に立てるようにという気持ちを強くします。

 

 弁護士としても、より活用していただきやすく、また、どんなことでお役に立てるのかを積極的にお伝えしておこうと思っています。